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神道のキモA:神饌(シンセン)

「神饌」とは、神様に食べていただくための飲食物のことです。
神社の社殿を入ると、一番奥の方に、台に乗ったお酒や鯣、野菜などを見たことがある方も 多いと思いますが、あれが「神饌」です。
お米はもちろんですが、お餅やお米を醸したお酒、海の幸、山の幸、野の幸、そしてお塩やお水に至るまで、 自然の恵みによっていただいた品々を、感謝の意を込めて神様にお供えするんですね。

一般的な祭典の式次第
修祓 お清めのお祓いです。
降神の儀 神籬に神様をお招きします。
 ※社殿での神事では行いません。
献饌 神様にお供え物を献上します。
祝詞奏上 神様に、願主の名、祈願内容などを奏上致します。
  (ここで各祭典で異なったことを行います)
玉串奉奠 神職に続き、願主・・・と奉奠します。
撤饌 献饌で御供えしたものを下げます。
昇神の儀 神様にお帰り頂きます。
 ※社殿での神事では行いません。


神道に於いて、「神饌」は非常に重要な意味を持ちます。

我々の日常の生活においても、友人やお客様を自宅に招いてホームパーティーを開く、といったり、 遠くで離れて暮らしている家族や親戚がお正月やお盆に集まるからという事で、みんなで会食すると言う事が 有ると思います。
そういった場合、ご馳走を準備して (最近は手間をかけずデリバリーする事も多いようですが) お客様をお持てなししますよね。
神道のお祭りでも、祭りの最初に、 上の式次第2.降神の儀においてお招きした神様もしくは そこにいらっしゃる神様に食べていただく物を お供えする『3.献饌』(文字通り神饌を献ずる儀式)を行います。
心を込めたご馳走を準備して神様をお持てなしするわけです。

「神社まめ知識」『氏神さんって何』のページでもふれましたが、 古来より日本人は神を身近な存在として感じてきました。 我々人間の日常生活の延長線上で神を意識して、 神を人間的に理解していた(いる)と思います。
従って、神に接する行為・行動・態度は、 大切なお客様をお迎えし、お持てなしする行為と同じなんですね。
其の土地の最高の味覚や、海の幸、山の幸を準備して神様に食べていただくわけです。
「神饌」は、調理の手を加えずに素材そのままを盛りつける『生饌(丸物神饌)』と、 人間の食べ物と同様に調理を施した『熟饌(調理神饌)』に分けられます。 一言で海の物と行っても、一般に神様へのお供えものと言って思いつく「鯛」だけでなく、 アワビやヒラメ、トビウオ、伊勢エビなどバリエーションは様々です。
稲作を基本とする神道の祭祀では、普通肉食を忌み、四つ足の動物を供えることはないのですが、 例外的に稲作以前の狩猟祭祀の伝統が残っている地方では、鹿や猪、兔などの生首をお供えする 非常にワイルドな神饌もあります。


話は戻りますが、お祭りの中で最初に『献饌』をしたあと、
神様にお願いや感謝の言葉を申し上げる『祝詞奏上』、
玉串奉奠』と続いて、
最後に『撤饌』(文字通り神饌を撤する儀式)を 行います。
つまり、お祭りとは、神様にお食事をお出ししてから、 その食膳を片づけるまでの、神の食事中に、お願い事や感謝の言葉を申し上げる わけですね。
ご馳走を奢ってあげてお願いを聞いてもらうなんて、日常の我々の生活の中でもありがちな、 すごく人間くさい?行為ですが、神様へのお願いや感謝の祭でも、同じな訳です。

神饌をお供えするところは、祭りの中で 社殿の一番奥で行われる行為なので、皆さんに馴染みの薄い地味な儀式ですが、神道の中で 最も重要な部分の一つです。



神道のキモB:直会(ナオライ)

上の「神道のキモA:神饌」は、大事な神様をお持てなしする料理でしたが、 神様に食べて(飲んで)いただいた神饌のお下がりをいただくことを「直会」と言います。

神様を『お招きした大事な客人』とすると、 神饌は『客人をもてなすご馳走』、 神祭り・祭典・直会は『客人といっしょに盛り上がる宴会』ですね。
同じものを一緒に食べるという行為は、相手をより親しい存在として感じることができますが、 日本人は、「共食」という行為に対して特別な感情を持っていた ようです。
現在でも、学生時代のクラブ活動などで、「同じ釜の飯を食った仲間」は 時を経ても心を許せる親友となり得ますし、 任侠の世界でも「盃をかわす」ことに特別な意味があるようです。
結婚式の三三九度の盃や、親族固めの盃も、お下がりの御神酒を飲み交わしますよね。


あまり一般に知られていませんが、 皇太子が皇位を継承し新しく天皇となった時のみに行われる 「大嘗祭(ダイジョウサイ)」では、 新しい天皇は、殿内の天照大御神と対座する場所に座り、 みずからが食器のかわりとなる柏の葉に神饌を盛っていきます。
ここで、天照大御神をはじめ代々の天皇の 御霊に神饌を食べていただくわけです。
そして供膳が済むと天皇は頭を下げ、自らもその神饌をお食べになります。
神々の御霊と共食し、天照大御神や代々天皇の御霊と一体となり、 天皇としての神威というかエネルギーを身に付けられるんですね。
皇位の継承とは、
天照大御神をはじめとする代々の天皇の御霊との「共食」である、
なんて、まさにニッポン!チャ!チャ!チャ!と言いますか、こんなもかっこいい文化を持つ日本を 誇りに思いますね〜


当社で昇殿祈願のあと、御守りと一緒にお渡しするお米も神饌のお下がり です。お下がりをいただいて神と一体となり、お守りいただくという直会の意味もありますので、 家で普段お食べになるご飯に混ぜて一緒に炊いて食べていただく と宜しいかと思います。


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