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神道のキモ⑤:禊 ・ 身滌(ミソギ・ミ ソギ)

【神道の原点!?】
神道は、世界的に見ても稀なほど、清浄を重んじる宗教だといわれる。
その背景には、 もともと神の分霊(ワケミタマ)である 心と身体を「清く正しい」状態、 つまり本来あるべき姿にしたいという古代日本人の思想があった。
今日、神社に参拝する ときも、 まず手を洗い、口をすすぐ。 また、神職達は神聖な滝や川や海辺で禊(ミソギ)を行い、精進潔斎する。 身の穢れを祓うことは、 魂の穢れを祓うことでもあり、 神への祈りのための前提条件なのであった。

薗田稔先生(京都大学元教授・秩父神社宮司)

参拝前の手水です


僕も写ってます 左の写真は、僕が所属している「広島県青年神職会」が 主催して行った神道行法研修会の様子です。

ちなみに、広島県青年神職会とは、広島県内の神社の神職(神主)で、年齢が40才以下のもので組織する会です。 世襲神社の跡取りや、大社に勤める神主がほとんどですね。
40才で青年なのか、と言う鋭いツッコミが来そうですが、 一応青年という事でお許し下さい。

今年度は、僕(もうすぐ38才)が会長をさせていただいておりまして、副会長に広島護国神社の神職(40才)・ 賀茂郡大和町 亀山神社の跡取り(35才)・宮島 厳島神社の跡取り(33才)、会員は約50名です。


【神話の中にも『禊ぎ』】
「みそぎ」と言う言葉が最初にでてくる文献は、『古事記』だと思われます。
『古事記』には太安万侶の手による序文がつけられていますが、 それによると第40代天武天皇が『古事記』編纂を思いつき、 第43代元明天皇の時代にやっと完成したとされています。712年(和銅5年)とされているので、 今から約1300年前の事になりますか。

古事記上巻では、八百万の神々や、日本の国々(島々)が、 伊耶那岐命(イザナキノミコト・男神)伊耶那美命(イザナミノミコト・女神)というご夫婦の神から、 産まれてくる話がありますが、
イザナキ 男: 「貴女の体はどんな風になってるんだい?」
イザナミ 女: 「私の体はだいたい整っているんだけど、一つ足りないところがあるのよ!」
イザナキ 男: 「そーか。実は俺の体もだいたい整っているんだけど、一つ余っているところがあるんだよ。
その余っているところを、貴女の『足りない部分』に押し塞いで国々を産んでみたいと思う」
なんて、けっこうリアルな描写がしてあり、すごい本ですよ。ちょっと横道にそれました。

イザナミが火之神である 火之迦具土神(ヒノカグツチノカミ) を産んだときに、女陰に火傷をして、それが原因で死んでしまうんですね。
イザナキは、死んでしまった妻に会いたくて、死者の国である 『黄泉の国(ヨミノクニ)』 までイザナミに会いに行きます。
黄泉の国でのいろいろな話がでてきますが、ここでは触れません。
そして、黄泉の国から帰ってきたイザナキは、

イザナキ: 「吾(わたし)はなんと、穢れた国に足を踏み入れてしまったのだろう。 この身も随分穢れてしまっているに違いない。」

と筑紫の国の日向の橘の小門の阿波岐原と言う所で、禊ぎを行う。 とあります。
広島県大野町 妹背の滝にて
【イザナキの『禊ぎ』によって生まれた神々】
いよいよ禊ぎの場面ですが、
イザナキは、禊ぎを行うために、身につけているものを次々と脱いでいったのです。
投げ捨てたから生まれた神は、 衝立船戸神ツキタツフナトノカミ
投げ捨てたから生まれた神は、 道之長乳歯神ミチノナガシハノカミ
投げ捨てたから生まれた神は、 時量師神トキハカラシノカミ
投げ捨てたから生まれた神は、 和豆良比能宇斯能神ワズライノウシノカミ
投げ捨てたから生まれた神は、 道俣神チマタノカミ
投げ捨てたから生まれた神は、 飽咋之宇斯能神アキグイノウシノカミ
投げ捨てた左手の手纏から生まれた神は、 奥疎神オキザカルノカミ、 奥津那芸佐毘古神オキツナギサビコノカミ、 奥津甲斐弁羅神オキツカイベラノカミ
投げ捨てた右手の手纏から生まれた神は、 辺疎神ヘザカルノカミ、 辺津那芸佐毘古神ヘツナギサビコノカミ、 辺津甲斐弁羅神ヘツカイベラノカミ
身につけているものを全て脱いでしまうと、
イザナキ:「上流は流れが激しいし、下流は流れが弱いから、中流にしよう。」と水の中に入りました。
初めて身をすすいだ時に生まれた神は、 八十禍津日神ヤソマガツヒノカミ、大禍津日神オオマガツヒノカミ
次に生まれた神は、 神直毘神カムナオビノカミ、大直毘神オオナオビノカミ、伊豆能売イズノメ
水底で身をすすいだ時に生まれた神は、 底津綿津見神ソコツワタツミノカミ、 底箇之男命ソコツツノオノミコト
水中で身をすすいだ時に生まれた神は、 中津綿津見神ナカツワタツミノカミ、 中箇之男命ナカツツノオノミコト
水面で身をすすいだ時に生まれた神は、 上津綿津見神ウエツワタツミノカミ、 上箇之男命ウエツツノオノミコト

そして左目を洗った時に生まれた神は、 天照大御神アマテラスオオミカミ
右目を洗った時に生まれた神は、 月読命ツクヨミノミコト
鼻を洗った時に生まれた神は、 建速須佐之男命タケハヤスサノオノミコト
イザナキ:「最後の最後にこんな素晴らしい三柱の神を生むことができるとはっ!」
伊耶那岐命は最後に生まれたこの三柱の神,三貴子の誕生を知って非常に喜びました。
そして、天照大御神に自分の首飾り(御倉板挙之神)を下賜し、
イザナキ:「天照大御神よ、あなたは高天原を治めなさい。」と委任したのです。
また、月読命・建速須佐之男命にもそれぞれ、
イザナキ:「月読命よ、あなたは夜之食国を治めなさい。建速須佐之男命よ、あなたは海原を治めなさい。」
と委任しました。

最後の3柱(柱とは、神様を数える時の単位?です)の神様の名前は、 聞いた事がある方も多いんじゃないでしょうか。
【禊ぎの作法】
社務所前に整列



鳥船
現在行われてる神社神道による作法では、

脱衣・・・褌は着けてますよ~
整列・・・先頭が御幣も持って、禊ぎ場まで整列して走っていきます。
祓詞(ハラヘコトバ)奏上・・・神社で行う厄除けなどの祈願祭でも必ず奏上します。お清めのことばで、 古事記の禊ぎの場面をよんだものです。

鳥船・・・船を漕ぐような格好をします。
雄健(オタケビ)・・・大きな声を発します。
雄詰(オコロビ)・・・大きな声を発します。
気吹(イブキ)・・・複式・胸式の両方を使って大きく深い深呼吸を繰り返します。

身滌(ミソギ)・・・字を使い分けているのか定かではありませんが、 行事次第では「身滌」と有ります。水に入ります。
大祓奏上・・・夏越や大晦日の大祓と同じ大祓詞(オオハラヘノコトバ)を水につかったまま奏上します。 1回で終わる時もあれば10回繰り返す時もありますが、そのときの雰囲気と天候次第ですね。
水から出たら、鳥船・雄健・雄詰・気吹を行います。
柏手を大きく一つ打って、「おめでと~!」
着衣して終了です。


掲載した写真は、7月に、広島県大野町 大頭神社 妹背の滝にて行った禊ぎ研修会 (広島県神社庁主催 広島県青年神職会担当)の様子です。
美しくない体をさらしてスイマセン。 「冬にしろよ~!」とお叱りを受けそうですが、禊ぎの作法を学ぶためには夏の方が良いんですよ。
冬ですと、作法を学ぶどころじゃなくなりますからね。
写っている顔にイマイチ真剣味が足りないと思われたあなた、鋭い!
冬に比べると、やっぱり気合の入り方が違うかな・・・


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